腕時計の大敵!磁気帯びによる悪影響と磁気抜きについて
時計が止まる・遅れるなどの不具合は「磁気帯び」を疑おう!
腕時計の大敵となるのが水分や湿気だけではありません。
前回記事「▼暑い夏と汗に気を付けたい!高温多湿時の腕時計の取り扱い」でもご紹介したしましたが、特に夏場は水を扱うことが増え、さらには腕に汗もかきやすいため、夏は内部に湿気が入りやすいということをお伝えしましたが、今回のテーマは「磁気」。
近年増加傾向にある時計の故障が「磁気帯び」です。
湿気などが時計内部に入っているわけではないのに、時計が遅れたり、電池交換してもすぐに止まってしまうなどの症状に悩まされているようでしたら、一度磁気帯びを疑ってみる必要があります。
そもそも磁気帯びとは
時計そのものが磁石のような状態になってしまう状態
で、当然人間の目には見えませんが、日常生活において磁気を発生する様々な環境や製品の影響を受け、時計内部が磁化と呼ばれる磁石のような状態になってしまい、
正常な動作ができなくなる事象が増えています!
世の中には、キャッシュカードなどの磁気を利用しているものや、磁気を帯びやすい冷蔵庫や電子レンジなどの電化製品、そしてパソコンやスマホまで、
主に家電製品の多くが磁気を帯びている
ほか、地磁気と呼ばれるお住まいの土地そのものに強い磁気が発生している場合もあり、日常生活において磁気は避けられないと言っても過言ではありません。実質的に「磁気を回避するのは不可能」というのが実情ではありますが、
大切な腕時計を磁気から守るため
にも、磁気の影響を受けにくい使い方、保管方法などを知っておく必要があります。 今回は、そんな時計の不具合を引き起こす「磁気帯び」の留意点と、磁気を解消する磁気抜き作業についてご紹介します。
そもそも磁気って何?時計が磁気帯びしてしまう原因と影響
磁気の定義については上記で触れたとおりですが、もう少し分かりやすく磁気帯びについてご紹介していきます。
小学校などの理科の実験で、磁石に鉄の棒をしばらくくっつけると、鉄の棒自体が磁石のような性質を持つことを学んだかと思います。
鉄を含めた金属の多くは「磁性体」と呼ばれ
まわりの磁気によっては容易に磁石のようになりますが、この現象を「磁化」と呼びます。腕時計の構成部品の多くは金属ですので、まわりの磁気によって
内部の金属部品が磁化してしまう可能性は十分にあり
これが磁気帯びという状態です。
現代社会においては、一昔前とは異なり様々な電波が飛び交っているほか、家電も屋内のWifiなどに接続されていたりと、何かと磁気を発する製品に囲まれています。こうした時代の変化に伴い、現代の腕時計においては
耐磁性能を考慮して設計されています
が、長期間磁気を発する家電製品などの隣で保管していたり、留め金に磁石が使用されているバッグに長時間近づけていたりすると、何かしたラの影響受けたり、磁化して時計の動作が不安定になったりする可能性があります。
ここでは、磁気を発している代表的な生活用品・アイテムを幾つかご紹介します。
・テレビ
・冷蔵庫
・電子レンジ
・IHヒーター
・スマホ
・パソコン
・ワイヤレスイヤホン
・磁気ネックレスなどの健康器具
・磁力を使った留め具 など
磁石そのものを近づけるのは論外ですが、バッグの留め具や健康器具など、意外と磁石を使った製品は多いので、腕時計をこれらのそばに置いたり、長期間保管していたりすると磁化して精度に影響が出てくる場合があります。特に機械式時計は、
内部部品が磁化してしまうと「磁気抜き作業(脱磁)」が必要
になる場合がありますので、湿気と同等に磁気帯びには留意が必要です。 ただし、すべての時計に影響が出るわけではなく、磁気の影響を受ける部品が使われていないような時計は、磁気を帯びても何ら影響は出ません。
日常生活における注意点と磁気抜き作業は必ず修理専門店へ
実際に時計の精度が落ちて「磁気帯びかな?」と感じた際には、ドクターウォッチのような時計修理専門店にて「脱磁」作業が必要となります。
磁気帯び(磁化)→磁気抜き(脱磁)
ドクターウォッチでは、▼設備のご紹介ページでも掲載しておりますが、専用の磁気抜き器を取り揃えているほか、耐磁試験機(磁気テスター)などもございますので、
時計の健康状態をいつでも測定することが可能!
大切な時計を長期間使い続けるためにも、オーバーホール時などに併せて磁気測定を行うことが大切です。冒頭でもお伝えしたように、磁気は目に見えないぶん、磁気帯びを回避することが難しいのが実情。
また、どの家電や電化製品に磁石が使われているかも分からないため、意識するといってもどのようにすれば良いのか分かりにくい部分もありますが、一般社団法人日本時計協会(https://www.jcwa.or.jp/time/knowledge/magnetic.html)のページに、
磁気を発生させる機器とその影響
が紹介されていますので、そちらも合わせて参考にされると良いでしょう。
時計の精度が低い、遅れる・進むなどの症状がありましたら、一度ドクターウォッチまでご相談ください。